錦秋を追いかけて─キャンピングカーで巡る中部東海北陸、紅葉と温泉と星空の旅
秋の深まりとともに、日本列島は北から南へと鮮やかな色彩に包まれていきます。中でも中部東海北陸地方は、標高3,000メートル級の高山から海岸線まで、約3ヶ月にわたって紅葉が楽しめる稀有なエリアです。この広大な地域を巡るなら、自由度の高いキャンピングカーでの旅が最適でしょう。宿の予約に縛られることなく、紅葉の見頃に合わせて移動し、温泉で疲れを癒し、光害のない場所で満天の星空を仰ぐ。そんな贅沢な秋の旅へ、いざ出発してみませんか。
中部地方の紅葉は、標高の高い山岳部から始まり、徐々に低地へと下りてきます。名所の見頃は 10月中旬〜12月上旬にかけて広がります。カーブは“紅葉の色づき強度”の目安です。旅の計画にお役立てください。
主要紅葉スポットの見頃カーブ比較(2025)
各スポットのピークと前後の広がり(なだらかな山)を可視化しました。ツールチップで「見頃目安」を表示します。
【静岡・寸又峡】エメラルドの湖面に映る紅葉の絶景
静岡県川根本町の寸又峡は南アルプス前衛の渓谷美が堪能できる名所で、最大の見どころは全長90メートルの「夢の吊橋」です。エメラルドグリーンの湖面に架かるこの橋から眺める紅葉は、まさに絶景。10月下旬から12月上旬にかけて、モミジやナラが赤や黄色に染まり、湖水とのコントラストが幻想的な景観を生み出します。

尾崎坂展望台からは渓谷全体を一望でき、朝霧が谷間に漂う早朝は特に撮影のゴールデンタイム。キャンピングカーなら前夜から近隣に泊まり、誰もいない静寂の中で最高の一枚を狙うことができます。夜間は草履石公園付近でライトアップも開催され、昼夜で異なる表情を楽しめるのも魅力です。
周辺には梅ヶ島温泉や修善寺温泉など歴史ある温泉地が点在。伊豆の国市のRVパーク静岡(サンフレンド遊湯の里)は、静岡県初の公認RVパークで、広い駐車区画と併設の日帰り温泉スパを備えています。紅葉散策後の疲れを癒すには絶好の拠点となるでしょう。

【愛知・香嵐渓】4000本のモミジが織りなす錦秋の渓谷
愛知県を代表する紅葉名所・香嵐渓は、豊田市足助町に位置します。巴川沿いに約4,000本ものモミジが植えられ、11月中旬から下旬にかけて渓谷全体が燃えるような赤に染まります。早朝の朝日に輝く紅葉は特に写真映えすると評判で、川面に映る「逆さ紅葉」も見逃せません。

夜間はライトアップが実施され、幽玄な景色へと一変。昼の華やかさとは対照的な、静謐で神秘的な美しさが広がります。ただし紅葉ピーク時は混雑必至のため、キャンピングカーで訪れる場合は早朝や平日を狙うのが賢明です。
近隣の稲武温泉「どんぐりの湯」は、道の駅「どんぐりの里いなぶ」に併設された日帰り温泉で、広い駐車場があり車中泊も可能。内風呂から稲武の山々の紅葉を望め、旅の中継地として人気を集めています。また三谷温泉のホテル三河海陽閣にはRVパーク「海陽閣」が設けられており、1泊4,000円で温泉と絶景露天風呂が堪能できます。

【三重・御在所岳】標高差が生む長期間の紅葉リレー
三重県菰野町の御在所岳は、鈴鹿山脈の主峰として知られる標高1,212メートルの山。この標高差を活かし、10月中旬の山頂から11月下旬の麓まで、長期にわたって紅葉が楽しめるのが最大の特徴です。

ロープウェイから望む紅葉谷は圧巻で、眼下に広がる赤や黄色のグラデーションは息をのむ美しさ。山上公園からは伊勢湾まで見渡せ、天候に恵まれれば遠く富士山の姿も拝めます。モミジ、イロハカエデ、ヤマウルシ、ブナなど多彩な樹種が織りなす色彩は、自然の芸術そのものです。
麓の湯の山温泉街も紅葉に彩られ、2023年には「RVパークsmart湯の山温泉」も開設されました。新名神高速菰野ICから車で7分とアクセスも良好。温泉で体を温めながら、ゆっくりと紅葉の余韻に浸ることができます。
【岐阜・恵那峡と白川郷】人工と自然、文化と紅葉の調和
岐阜県では2つの異なる魅力を持つスポットを訪れましょう。まずは中津川市の恵那峡。エメラルドグリーンの峡谷を遊覧船で巡りながら紅葉を眺める体験は格別です。奇岩怪石に映えるモミジやカエデの赤、岸辺のクヌギの黄色が織りなす景観はまさに錦絵。11月中旬頃に見頃を迎え、川面に映る紅葉は絶好の被写体となります。

近隣には恵那峡温泉があり、紅葉と温泉が一体化した景観が楽しめます。また、この地域は栗きんとん発祥の地としても有名で、9月上旬から「すや本店」や「川上屋」などの名店で栗きんとんが販売開始されます。栗と砂糖だけで作られるシンプルで上品な味わいは、まさに秋の味覚の極致です。
一方、世界遺産の白川郷合掌造り集落では、茅葺き屋根と紅葉の山々が織りなす日本の原風景に出会えます。10月下旬から11月上旬、カエデやナラが色づき、展望台から眺める集落全体の景観は秋ならではの絶景。合掌造り民家園では紅葉ライトアップも開催され、茅葺民家が照らされる幻想的な夜景が撮影できます。

運が良ければ、澄み渡る青空と初冠雪、紅葉という三層の色彩コントラストを一度に見られる可能性も。RVパーク飛騨まんが王国(飛騨市宮川町)は、1泊1,500円で42,000冊の漫画読み放題と温泉入り放題という至れり尽くせりの施設。飛騨古川観光の拠点として最適です。
【富山・黒部峡谷と五箇山】日本一深いV字谷と世界遺産の競演
富山県では、まず「日本一深いV字峡」として知られる黒部峡谷へ。トロッコ電車に揺られながら眺める峡谷美は、11月上旬にカエデやナラが赤黄に染まり最高潮を迎えます。黒部川のエメラルド色との対比が見事で、沿線の新山彦橋など撮影ポイントも豊富です。

黒部峡谷観光の拠点となる宇奈月温泉には、道の駅「KOKOくろべ」があり広い駐車場と足湯を完備。日帰り入浴可能な旅館も多く、峡谷の紅葉帰りに気軽に立ち寄れます。
五箇山菅沼合掌造り集落も、10月中旬から11月中旬に見頃を迎える世界遺産の紅葉名所。山肌が赤や黄色に染まり、合掌造りの集落を彩る景観は日本の原風景そのもの。白川郷と同様、運が良ければ初雪と紅葉の共演も見られます。この絶景を狙うなら、初雪予報と紅葉のピーク時期を照らし合わせた計画が鍵となるでしょう。

富山市の「天然温泉 湯めごこち」は、立山ICから約5分の好立地にRVパークが併設されており、電源・水道完備で快適な車中泊が可能です。
【石川・兼六園】加賀百万石の庭園美と紅葉の調和
石川県金沢市の兼六園は、日本三名園の一つとして名高い特別名勝。11月中旬から下旬にかけて、カエデやハウチワカエデが庭園を彩ります。霞ヶ池に映る紅葉や、徽軫灯籠とのコラボレーションは金沢ならではの風景です。
雪吊りの準備が進む時期と紅葉のピークが重なることが多く、日本の伝統的な冬支度の風景と紅葉の対比が絵になります。夜間はライトアップが実施され、水鏡を利用した撮影や、照明によって浮かび上がる色彩を捉える夜間撮影も楽しめます。

加賀温泉郷の山代温泉・山中温泉は、共同浴場や総湯が充実し、広い市営駐車場があり大型車でも安心。紅葉名所の鶴仙渓が近く、温泉三昧の旅が実現します。また、志賀町の「道の駅ころ柿の里しか」にはRVパークしかが併設され、隣接する温泉施設「アクアパーク シ・オン」で日本海を望む露天風呂が堪能できます。
金沢の和菓子文化も見逃せません。「柴舟小出」では10月1日頃から秋限定の「芋兵衛」どら焼きや「和菓子職人が作った贅沢モンブラン」を販売。「落雁 諸江屋」では9月下旬頃から秋のお菓子が並び、紅葉狩りのお供に最適です。
【福井・九頭竜湖】星空の聖地で味わう紅葉と天体のコラボ
福井県大野市の九頭竜湖は山々に囲まれたこの人造湖で、環境省の星空調査で「日本一美しい星空」に2年連続選ばれた実績を持つ、天体観測の聖地でもあります。
紅葉は11月上旬から中旬に見頃を迎え、湖畔のモミジやウルシが水面に映る様子は幻想的。特に「夢のかけ橋」と呼ばれる箱型橋梁は、紅葉と調和したシルエットがフォトスポットとして人気です。

昼は紅葉を楽しみ、夜は満天の星空を仰ぐ。これこそがキャンピングカー旅の醍醐味でしょう。街明かりがほとんどない湖畔では、降るような星が楽しめます。
越前町の「RVパークこばせ」は、目の前が梅浦海水浴場で夕日100選にも選ばれた景勝地。大浴場の大窓から日本海を一望でき、沈む夕陽や夜の漁火を眺めながら温泉に浸かれます。また敦賀市の「RVパーク M.C.Resort」は、敦賀ICから15分とアクセス良好で、ホテル内温泉は滞在中入り放題という贅沢さです。
キャンピングカーだからこそ味わえる秋の極上体験
温泉三昧の贅沢
各地のRVパークや道の駅の多くは温泉施設と併設されており、紅葉散策後すぐに温泉で体を温められるのは大きな魅力です。岐阜県郡上市の「RVパーク ウイングヒルズ満天の湯」では、標高1,000メートルの良質な炭酸水素塩泉に無料で何度でも入浴可能。富山の大牧温泉のように、船でしかアクセスできない秘境の温泉を訪ねるのも、時間に縛られないキャンピングカー旅ならではの楽しみ方です。
星空と夕焼けハンティング
光害の少ない山間部や海岸線まで自由に移動できるキャンピングカーは、天体観測に最適。福井県の九頭竜湖や六呂師高原、石川県の能登半島は「星空の聖地」として知られ、特に秋は空気が澄んで天の川がはっきり見えます。


夕景狙いなら、富山県の雨晴海岸で立山連峰をバックに日本海越しの夕陽を、福井県の越前海岸・鉾島で「越前のモンサンミッシェル」越しの夕陽を。一日の終わりを絶景で締めくくり、そのまま車内で眠りにつく。こんな贅沢な旅の形は、キャンピングカーでしか実現できません。


色彩縦断戦略の実践
この地域の紅葉は、富山・岐阜の高山帯で9月中旬に始まり、愛知・三重の平野部で12月上旬まで続きます。キャンピングカーなら、この「色彩縦断」戦略を完璧に実践可能。9月下旬は富山の立山・室堂平から始め、10月は黒部峡谷や恵那峡の渓谷美へ、11月は金沢・香嵐渓の都市型紅葉で締めくくる。常に最高の見頃を追いかける、まさに紅葉ハンターの理想形です。
各県の紅葉スポット詳細
静岡県:寸又峡
見頃:10月下旬~12月上旬
エメラルドグリーンの湖面と紅葉のコントラストが絶景。「夢の吊橋」からの眺めはスリル満点ながらも必見の美しさです。
愛知県:香嵐渓
見頃:11月中旬~11月下旬
約4,000本のもみじが作り出す圧巻の紅葉トンネルが有名。夜間のライトアップも幻想的で、昼夜問わず楽しめます。
三重県:御在所ロープウェイ
見頃:10月中旬~11月下旬
標高差があるため、山頂から麓へと約1ヶ月半かけて紅葉が降りてきます。空中散歩を楽しみながら色のグラデーションを堪能できます。
岐阜県:白川郷
見頃:10月下旬~11月中旬
世界遺産の合掌造り集落が黄金色に染まる山々に抱かれる姿は、日本の原風景そのもの。展望台からの眺めは格別です。
富山県:黒部峡谷
見頃:10月下旬~11月中旬
トロッコ電車に乗りながら、日本一深いV字峡谷の断崖絶壁を彩る紅葉を楽しめます。手付かずの大自然が迫るダイナミックな景観が魅力。
石川県:兼六園
見頃:11月中旬~11月下旬
日本三名園の一つ。計算され尽くした庭園美と紅葉が融合し、まるで一枚の絵画のような風景が広がります。雪吊りと紅葉の組み合わせも風情があります。
福井県:九頭竜湖
見頃:10月下旬~11月中旬
雄大な湖の周りをブナやカエデの原生林が彩ります。湖にかかる「夢のかけ橋」からの眺めは、湖面と紅葉が一体となった絶景です。
🍁 中部北陸キャンピングカー紅葉旅 よくある質問
秋色に染まる旅路の先に
中部東海北陸地方の紅葉巡りは、単なる景勝地巡りではありません。標高差を活かした長期間の紅葉リレー、温泉文化との融合、満天の星空や絶景の夕陽、そして地域に根付いた和菓子文化まで。キャンピングカーという自由な移動手段があれば、これらすべてを自分のペースで、最高のタイミングで体験することができます。
エメラルドの湖面に映る紅葉、世界遺産の集落を彩る錦秋、日本一のV字峡を染める赤と黄、加賀百万石の庭園美、そして星空の聖地での天体ショー。この秋、愛車と共に中部東海北陸の紅葉街道を走り、五感すべてで秋の深まりを感じる旅に出かけてみませんか。車窓から、温泉から、満天の星の下から眺める錦秋の景色は、きっと一生の思い出となることでしょう。



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