- キャンピングカーで撮り鉄旅する8大メリット
- 近江鉄道(滋賀)の清流水鏡ショット
- 叡山電鉄(京都)の新緑&紅葉トンネル
- 南海高野線(大阪・兵庫)の山岳絶景
- 嵯峨野トロッコ(京都)の保津峡クルーズ風景
- JR和歌山線(和歌山)の紀ノ川夕景ポイント
- JR関西本線(奈良・三重)の田園・鉄橋シルエット
キャンピングカーと鉄道写真の“最強タッグ”
―渓谷・里山・海岸線を5000文字で巡る珠玉の7路線コラム
ホテル予約や終電時刻に縛られないキャンピングカーは、**「日の出前に現着 → ベスト光線で撮影 → 車内でゆっくり現像」**という贅沢フローを叶えてくれる最高の相棒。移動と宿泊コストを一本化できるため、撮影チャンスを最大化しながら旅費も抑えられます。
キャンピングカー撮影旅 3つのメリット
撮影装備&テクニック Quick チェック
- 機材:フルサイズ+70-200mm/24-105mmが汎用。渓谷俯瞰は100-400mmも◎
- あると便利:CPLフィルター(川・海の反射カット)、軽量脚立(ローアングル補助)、ハンディGPS(位置タグでRAW管理)
- 基本設定:SS1/1000↑で動感キープ、f8前後で線路から山まで被写界深度確保、ISOは光線に合わせAUTO上限1600目安
- マナー:私有地進入NG/線路から2 m離れる/三脚は人通り最小限ポイントのみ
1|保津峡を切り裂く渓谷美 ― 嵯峨野観光鉄道

旧山陰本線の廃線跡を走る全長7.3kmの嵯峨野観光鉄道の観光トロッコ列車。京都・嵯峨野から亀岡まで、保津川に沿って深いV字谷をゆっくりと進む。最大の見どころは明治期に架けられた保津川橋梁で、春は桜、夏は新緑、秋は紅葉が車窓いっぱいに広がる。谷底から立ちのぼる朝もやを待ちながら、キャンピングカーの車内で温かいコーヒーを淹れていると、ヘッドライトが霧を切り裂く瞬間がやって来る。列車の速度は時速25kmほどと遅めなので、初めてでもタイミングを合わせやすい。

- ハイライト:保津川橋梁を渡るトロッコ列車+V字渓谷のパノラマ
- ベスト光線:紅葉期は14 時前後、西日が車体サイドを黄金に染める瞬間が狙い目
- 駐車スポット:JR亀岡駅前の道の駅「ガレリアかめおか」24 hトイレ完備
- 立ち寄り:亀岡湯の花温泉/保津川下り(カメラは防滴対策必須)
2.里山ディーゼルが奏でる水鏡のシンフォニー -姫新線
兵庫・姫路と岡山・新見を結ぶ全長158kmのローカルディーゼル路線姫新線。播磨の里山と揖保川の清流が作り出す穏やかな風景が続き、春は菜の花、夏は水鏡、秋は稲穂が黄金に染まる。田んぼのあぜ道に三脚をセットすると、クリーム色のキハが「ガタン」と小気味よい音を立てて通り過ぎる。そのまま車で数分の道の駅まで戻れば、車内ギャレーで採れたて野菜をサンドイッチにできるのも小さな楽しみだ。

- 注目区間:新宮町觜崎―揖保川の屏風岩バック
- 季節技:田植え前後は“水鏡”、夏は朝霧+列車ライトの光条を長秒露光で
- 駐車スポット:道の駅「みなみ波賀」静音・平坦。夜は鹿の飛び出し注意
- 寄り道:揖保乃糸資料館で素麺ランチ/龍野醤油の蔵元見学
3|太平洋ブルーと潮風をつかむ瞬間 ― 紀勢本線
紀伊半島をぐるりと回る全長384kmの長大幹線。那智勝浦〜串本〜白浜にかけては紺碧の太平洋を見下ろす海岸線が続き、特急「くろしお」がターコイズブルーの車体で風景に溶け込む。夜明けの突堤に三脚を置くころ、水平線から朝日が昇り、車体のサイドを真っ赤に染める。潮風でカメラが塩をかぶっても、キャンピングカーに戻ればすぐにレンズを拭ける安心感が心強い。

- 絶景スポット:紀伊田原―古座の海岸橋梁
- 光線:午前順光。PLで海面グラデーションを強調
- 駐車スポット:那智勝浦・浜の宮海水浴場駐車場(温水シャワー有)
- 立ち寄り:那智の滝/串本海中公園シュノーケリング体験
4.古都と大都市の境界線で“光の海”を掬う -近鉄奈良線
近鉄奈良線は大阪・難波と奈良を結ぶ大動脈。石切付近では生駒山の中腹を走り、大阪平野とビル群を一望できる。夕暮れ、オレンジの空と街の灯りが重なり、通勤電車のライトが光の帯になる瞬間が美しい。山麓の駐車場にキャンピングカーを停め、展望デッキへ軽装で上がれば、手持ちスマホでも夜景と列車の共演を収められる。

- 撮影妙味:大阪平野を敷き詰める夜景+近鉄特急の前照灯トレイル
- ベストタイム:日没30分前に構図決定→ブルーアワー15 min長秒露光
- 駐車スポット:生駒山麓公園キャンプ場(電源サイト有/要予約)
- グルメ:石切参道の“よもぎ餅”で糖分チャージ
5.赤とターコイズの補色ドラマ ― 丹後あかまつ号
京都丹後鉄道は京都府北部・宮津〜西舞鶴を走る観光列車。「赤松」をイメージした真紅の車体が日本海沿岸の入り江をたどり、由良湾カーブでは海の青とのコントラストがひときわ鮮やか。列車は普通列車の合間に走るため、ダイヤは公式サイトで要チェック。断崖上の遊歩道まで徒歩5分、海風に吹かれながらシャッターを切り、撮影後は車に戻って海を眺めつつ簡易キッチンで淹れたコーヒーで一息つける。

- 代表構図:由良海岸のエメラルドブルーと赤い車体の補色対比
- Tips:海沿いは塩害で機材がベタつくため、撮影後はブロア&ウェットシートで即クリーニング
- 駐車スポット:道の駅「舞鶴港とれとれセンター」海鮮直売が朝から充実
- 寄り道:伊根の舟屋クルーズ/天橋立スカイデッキ
6.轟音と渓谷が五感を包む ― 関西本線
大阪から奈良へ抜けるJR関西本線のうち、三郷駅近くは渓谷を縫う急カーブが続き、国鉄型103系や221系が力強く駆け上がる姿を正面から狙える。谷に反響するモーター音が迫力満点だが、列車本数は1時間に2〜3本なので時刻表の確認は必須。早朝の柔らかな光が車体を包む時間帯に合わせ、車内ベッドから起き抜けで現地に向かえるのがキャンピングカー旅の利点だ。

- 見どころ:山肌をかすめるSカーブ+103系・221系の8連迫力
- 光線:午前順光、午後は山影でハイライト抑えたしっとりトーン
- 駐車スポット:道の駅「かつらぎ」夜間静か&スーパー隣接
- 立ち寄り:亀の瀬トンネル(旧線跡ライトアップ)/王寺駅前達磨寺
7.天空へ伸びる鋼の階段 ― 高野山ケーブル
南海鉄道高野山ケーブルは標高867mの高野山へ向かう全長0.8kmの急勾配ケーブルカー。最大568.2‰の坂を朱色の車体がゆっくり登り、両側には春の桜と秋の紅葉が迫る。始発便は観光客が少なく、ホーム端から線路全体を入れた写真が撮りやすい。終点の高野山駅前には広い駐車場があり、前夜に乗り入れておけば、朝の清涼な空気の中で静かに撮影を始められる。

- フォトジェニック:極楽橋駅ホーム俯瞰+568.2‰勾配レールの圧縮効果
- 桜&紅葉:ケーブル横斜面が一斉に色づき、望遠70-300 mmで圧縮すると山肌がキャンバスに
- 駐車スポット:高野山大門駐車場(夜間は星景撮影の穴場)
- スピリチュアル寄り道:奥の院ナイトツアー/精進料理ランチ
撮影マナー&安全ガイド
安全で迷惑をかけない撮影のために守りたいこと
チェック項目 | ポイント |
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立入禁止境界 | 黄色杭・柵外で、線路端から2m以上離れる |
三脚使用 | ホーム・狭路では自粛。山道はスパイク脚+石突カバー |
ゴミ管理 | 車内に専用ボックス常備。「来た時より美しく」を合言葉に |
昆虫・野生動物 | 夏秋のスズメバチ、鹿の飛び出しに注意。長袖+蜂スプレー |